動の赤と静の青

幾千万の星から 貴方を見つけられる

拝啓「君」

今までずっと読む専門だったけれど、そういえば私が世間で言われるところのいわゆる「ジャニヲタ」になって半年が経過したので、記念にブログを始めてみることにする。

20数年の年月を生きてきて、突然ジャニーズにハマった。振り返って見れば小中高と周りにジャニヲタがいたり見ていたドラマにジャニーズが出ていたり、ハマる要素はそれなりにあったのに、捻くれ者の私は王道の代名詞のようなジャニーズにハマるなんて有り得ないと思っていたので、ことごとくその機会をスルーしていた。そしてどこかジャニヲタを蔑んでいた。自分もアニメヲタクだったりバンギャだったからそれなりに濃い趣味の持ち主だったけど、「人と違うものが好き」「変わった趣味を持っていること」にどこかプライドの様なものを感じていて(厨二病あるある)ジャニヲタなんてただのミーハーだし思春期の一過性のものに過ぎない、なんて思っていた。

そんな変わり者を誇っていた私がジャニーズにハマったきっかけはごくごくありふれたものだった。ジャニヲタの友人におすすめされたのである。長くなるからその過程は割愛するけど、私はとある若手デビュー組のとあるジャニーズアイドルのことを好きになった。かっこよくて、可愛くて、面白くて、メンバーに愛される彼のことを好きになった。先に断っておくけど残念ながら彼はタイトルに記した「君」ではない。
当時私は(自分はジャニーズが好きになったんじゃなくて、たまたま好きになったタレントがジャニーズ事務所に所属していただけなんだ。だからジャニヲタじゃないし、他のジャニーズアイドルには興味が一切ない)と思っていた。それは本当のようで嘘だった。はじめに好きになった「彼」との出会いから約1ヶ月後、私は「君」と出会ってしまった。

「君」のことは知っていた。私のことをジャニーズにはめた友人が「君」のアンチだったからだ。「君」は万人ウケするタイプではない。デビューはしているし、それなりにファンも獲得しているけれど、嫌いなジャニーズランキングにも、ルックスがイマイチだと思うジャニーズランキングにも幾度となくランクインしている。「君」の名前を告げて、プラスの反応をもらったのはこの半年でほとんどと言っていいほどない。
友人がアンチ、からのスタートだったのでもちろん私の「君」に対する印象も良いものではなかった。「君」と同じグループにはもっとかっこいいメンバーが何人もいたし、もしグループにハマる可能性があるなら、担当となるメンバーはそっちだろうなと思っていた。V系が好きだったこともあって私は派手で華やかで人目をひく誰が見ても美形な人が好きだったから、そんな容姿とは正反対の「君」を好きになるなんて思ってもみなかった。

9月のある日、前述した彼を見るために私はジャニーズのグループがほぼ全員出演する大型歌番組を見ていた。「彼」のグループの出番が終わって、「君」が属するグループの出番になった。特に意識してなかったけど、なんとなく流れでそのグループのステージを見た。それが初めて私が「君」の歌っている姿を、踊っている姿を、カメラに向かって自分をアピールしている姿を認識した瞬間だった。
歌っている「君」を見たとき、なんだかゾクゾクする感覚がして、自分の足元が不安定になって、このまま崩れ落ちてしまうんじゃないかという感覚に襲われたことを覚えている。分からないけれど、今まで築き上げてきた何かが全部なくなるような感じ。
(あれ?なんで?全然タイプじゃないのに…友達はアンチなのに…)
私が以前読んだブログに、「恋と推しには落ちるもの」という言葉が出てきて、至極名言だなあと思ったんだけど、まさに「君」との出会いはこれに当てはまる。好きになった、とかファンになった、とかハマりそう、とかじゃなくてきっとあの瞬間私は「君」に落ちた。それも真っ逆さまに。

「君」に落ちた後の私は、「彼」の時とは比べ物にならない熱量でその姿を追い始める。過去の音源を求めるのはもちろん、コンサートの円盤も購入した。ジャニーズショップに行って、店頭にある「君」の写真を全て買い占めた。アイドル誌やテレビ誌の類は全部チェックし、ほぼ全て手に入れた。単純に大好きな「君」の写真を家でゆっくり見たかったのもあるけれど、それよりもインタビューをじっくり噛み締めて読みたかった。「君」の綴る言葉が好きだったから、仕事やメンバーに対する姿勢や、綴る言葉の裏に透けて見える人となりをもっと知りたかった。さらにBDレコーダーなるものも購入した。私含め家族全員今まで全くと言っていいほどテレビを見る習慣がなく、私が長らく腰を据えていたV系界隈の人たちはテレビにはほとんど出なかったので家に録画機の類がなかった。でも「君」はたくさんテレビに出る。ジャニヲタなら必ず一度は見たことがあるであろう金曜日の番組、それから各種大型歌番組、さらにはバラエティや冠番組など…その全てをリアタイするのは無理だし、何より何度も見返したい。だから私は思い切ってBDレコーダーを購入した。何だかんだジャニヲタになって一番買ってよかったものかもしれない。

話は変わるけど、もしこのブログを読んでくれている人がいたら聞きたい。皆さんは担当のどこが最も好きだろうか。顔?歌?ダンス?トーク力?演技?
私は「君」の人となりが最も好きだ。アイドルの人となりが好きだなんて笑われるかもしれない。そんなもの分かるわけないし、芸能人なんてみんな腹黒い、そういう人もいるだろう。もちろんテレビや雑誌、ラジオなど「メディア」を通した「ジャニーズのアイドル」としての「君」の人となり、という意味だけれど、私は「君」の人となりが大好きだ。詳しく書くことはしないけど、熱くて負けず嫌いで目立ちたがり屋なのに、優しくて繊細でグループを俯瞰して見ることのできる「君」が好きだ。まさに動の赤と静の青の両方の色を持ち合わせている人だと思っている。とにかくそんな「君」という人物が好きで好きでたまらない。容姿だって、今までの私の好みからは掛け離れているのに、かっこよくてかわいくて愛しくして仕方なくて、その小振りなパーツがその配置でまあるい輪郭に収まっていて、「君」という人間を形作っていることに感謝するぐらいには好きになっている。
昔から、例えば「君」がデビューする前から応援しているようなファンの人からしたら、私なんてただのミーハーのにわかに過ぎないだろうけれど、私は私なりの解釈で「君」が好きで、ミーハーのにわかなりに少なくないお金を費やしていると自負している。現時点でまだコンサートには行けておらず「君」の存在を肉眼で確認したことも「君」の歌声を生で聴いたこともない(単純にタイミング的な問題で)。しかし有り難いことに一応予定はあるので(多ステや積みの是非は置いておいて)私は複数公演のチケットを確保している。それが良いのか悪いのか私には判断することができないけれど、1回でも多く大好きな「君」がステージで輝く姿を目に焼き付けたいと思った結果だ。
「君」のことを考えるだけで毎日が輝いて、「君」の歌声を聴くだけで嫌なことは忘れられた。しんどい仕事も「君」を見るための、応援する(私は応援することとはお金を落とすことと同義だと思っている)ためなら苦ではなかったし、「君」の出る番組を録画して編集して焼いたディスクが溜まることや、積み上がっていく雑誌の山が嬉しかった。

反対に辛いことや苦しいこともたくさんあった。まず周囲の友人からの理解が得られないことだ。「君」に関して心ない言葉を言われて傷ついたことは何度もある。めんどくさい奴だと思われたくなかったから傷ついていることは表に出さなかったけれど。例え芸能人だったとしても好きな人を悪く言われて嬉しい人なんていないと思うし、少なくとも私は友人たちの推しが自分の好みではなかったとしても貶したりなんてしない。人にはそれぞれ魅力があって、自分がその魅力を理解できないだけで糾弾するのは人としてとても寂しいことだと思う。あまりの酷い言われように、一時期は本気で落ち込んだ。けれどそれは「君」のファンでいることにまだ自信がなかったが故のことだと今では思う。誰に何と言われようと「君」の魅力は私がよく知っていると断言できて「君」への気持ちは他人にとやかく言われたぐらいで揺らぐようなヤワなものではなくなってからは何を言われようがどうでもよくなった。
もう一つある。これは書くべきか迷ったけど、どうやら私は「君」にリアコをしてしまったようだ。リアコ、とはアイドルや俳優など手の届かない芸能人にリアルに恋をしてしまうことで、どの界隈にも一定数いる。ジャニーズも例外ではない。そもそもリアルに会ったことも喋ったこともなければ相手に姿を認識されてるわけでもなくプライベートの相手を知らないのにリアルに恋とは?という意見は非常に正論だと思うけれど、それが自分でも痛いほど分かっているからこそ余計に苦しい。流石にもう夢見る少女という年齢ではないので、「君」とどこかで出会って付き合えるかも、いや自分が芸能人になってお近づきに…なんてストーリーは描いていない。ファンとヲタクの関係はこれからもずっと、私が「君」のファンを辞める時まで変わらないだろうしいつか「君」は私じゃない誰か他の女性とお付き合いして結婚するだろう。それはよく分かっているけれど、よく分かった上で今の私の好きな人は紛れもなく「君」だ。会ったことも話したこともなければ、私という人間のことを知るよしもない「君」だ。朝起きた時や寝る前に思い浮かべる人も、美味しいご飯を食べた時に食べさせたいと思う人も、楽しそうな場所に一緒に行ってみたいと思う人も、地球上で「君」一人だけだ。良い歳した大人が痛いことを発信しているのは分かっているし、現実を見なきゃいけない年齢なのも自覚している。10年後に後悔するかもしれない。けれど今この瞬間を生きている私は「君」以外の誰かを好きになることはできないし、なろうとも思わない。毎日ぐるぐる葛藤しては結局この結論に至っている。

ただ取り留めもなく半年を振り返ってみて私はやっぱり「君」が好きなんだと思った。いつまで「君」のファンをやるかは分からない。今まで倦厭していたジャニーズに突然ハマった女だから、次は何にハマるか分かったものではないし、朝起きたら「君」に突然飽きているかもしれない。フラっと見た番組で、デビュー前のフレッシュなジュニアの子にハマってしまうかもしれない。縁起でもないことだしそれだけはないと言いたいけど、「君」が突然ステージから降りることだってあるかもしれない。未来のことなんて誰にも分からないし、世の中に絶対なんてない。

だけど私は「君」のあの夢が叶った未来を、きっとそう遠くない未来を「君」と一緒に喜びたいと思っている。今はそれで充分だ。